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トップ  >  マタイによる福音書  >  マタイによる福音書 9章



◆中風の人をいやす

1 イエスは舟に乗って湖を渡り、自分の町に帰って来られた。

2 すると、人々が中風の人を床に寝かせたまま、イエスのところへ連れて来た。イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と言われた。

3 ところが、律法学者の中に、「この男は神を冒涜している」と思う者がいた。

4 イエスは、彼らの考えを見抜いて言われた。「なぜ、心の中で悪いことを考えているのか。

5 『あなたの罪は赦される』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。

6 人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう。」そして、中風の人に、「起き上がって床を担ぎ、家に帰りなさい」と言われた。

7 その人は起き上がり、家に帰って行った。

8 群衆はこれを見て恐ろしくなり、人間にこれほどの権威をゆだねられた神を賛美した。



◆マタイを弟子にする

9 イエスはそこをたち、通りがかりに、マタイという人が収税所に座っているのを見かけて、「わたしに従いなさい」と言われた。彼は立ち上がってイエスに従った。

10 イエスがその家で食事をしておられたときのことである。徴税人や罪人も大勢やって来て、イエスや弟子たちと同席していた。

11 ファリサイ派の人々はこれを見て、弟子たちに、「なぜ、あなたたちの先生は徴税人や罪人と一緒に食事をするのか」と言った。

12 イエスはこれを聞いて言われた。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。

13 『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学びなさい。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」



◆断食についての問答

14 そのころ、ヨハネの弟子たちがイエスのところに来て、「わたしたちとファリサイ派の人々はよく断食しているのに、なぜ、あなたの弟子たちは断食しないのですか」と言った。

15 イエスは言われた。「花婿が一緒にいる間、婚礼の客は悲しむことができるだろうか。しかし、花婿が奪い取られる時が来る。そのとき、彼らは断食することになる。

16 だれも、織りたての布から布切れを取って、古い服に継ぎを当てたりはしない。新しい布切れが服を引き裂き、破れはいっそうひどくなるからだ。

17 新しいぶどう酒を古い革袋に入れる者はいない。そんなことをすれば、革袋は破れ、ぶどう酒は流れ出て、革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。そうすれば、両方とも長もちする。」



◆指導者の娘とイエスの服に触れる女

18 イエスがこのようなことを話しておられると、ある指導者がそばに来て、ひれ伏して言った。「わたしの娘がたったいま死にました。でも、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、生き返るでしょう。」

19 そこで、イエスは立ち上がり、彼について行かれた。弟子たちも一緒だった。

20 すると、そこへ十二年間も患って出血が続いている女が近寄って来て、後ろからイエスの服の房に触れた。

21 「この方の服に触れさえすれば治してもらえる」と思ったからである。

22 イエスは振り向いて、彼女を見ながら言われた。「娘よ、元気になりなさい。あなたの信仰があなたを救った。」そのとき、彼女は治った。

23 イエスは指導者の家に行き、笛を吹く者たちや騒いでいる群衆を御覧になって、

24 言われた。「あちらへ行きなさい。少女は死んだのではない。眠っているのだ。」人々はイエスをあざ笑った。

25 群衆を外に出すと、イエスは家の中に入り、少女の手をお取りになった。すると、少女は起き上がった。

26 このうわさはその地方一帯に広まった。



◆二人の盲人をいやす(1)

27 イエスがそこからお出かけになると、二人の盲人が叫んで、「ダビデの子よ、わたしたちを憐れんでください」と言いながらついて来た。

28 イエスが家に入ると、盲人たちがそばに寄って来たので、「わたしにできると信じるのか」と言われた。二人は、「はい、主よ」と言った。

29 そこで、イエスが二人の目に触り、「あなたがたの信じているとおりになるように」と言われると、

30 二人は目が見えるようになった。イエスは、「このことは、だれにも知らせてはいけない」と彼らに厳しくお命じになった。

31 しかし、二人は外へ出ると、その地方一帯にイエスのことを言い広めた。



◆口の利けない人をいやす

32 二人が出て行くと、悪霊に取りつかれて口の利けない人が、イエスのところに連れられて来た。

33 悪霊が追い出されると、口の利けない人がものを言い始めたので、群衆は驚嘆し、「こんなことは、今までイスラエルで起こったためしがない」と言った。

34 しかし、ファリサイ派の人々は、「あの男は悪霊の頭の力で悪霊を追い出している」と言った。



◆群衆に同情する

35 イエスは町や村を残らず回って、会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、ありとあらゆる病気や患いをいやされた。

36 また、群衆が飼い主のいない羊のように弱り果て、打ちひしがれているのを見て、深く憐れまれた。

37 そこで、弟子たちに言われた。「収穫は多いが、働き手が少ない。

38 だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい。」



                   新共同訳聖書(日本聖書協会発行)

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