◆離縁について教える
1 イエスはこれらの言葉を語り終えると、ガリラヤを去り、ヨルダン川の向こう側のユダヤ地方に行かれた。
2 大勢の群衆が従った。イエスはそこで人々の病気をいやされた。
3 ファリサイ派の人々が近寄り、イエスを試そうとして、「何か理由があれば、夫が妻を離縁することは、律法に適っているでしょうか」と言った。
4 イエスはお答えになった。「あなたたちは読んだことがないのか。創造主は初めから人を男と女とにお造りになった。」
5 そして、こうも言われた。「それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、二人は一体となる。
6 だから、二人はもはや別々ではなく、一体である。従って、神が結び合わせてくださったものを、人は離してはならない。」
7 すると、彼らはイエスに言った。「では、なぜモーセは、離縁状を渡して離縁するように命じたのですか。」
8 イエスは言われた。「あなたたちの心が頑固なので、モーセは妻を離縁することを許したのであって、初めからそうだったわけではない。
9 言っておくが、不法な結婚でもないのに妻を離縁して、他の女を妻にする者は、姦通の罪を犯すことになる。」
10 弟子たちは、「夫婦の間柄がそんなものなら、妻を迎えない方がましです」と言った。
11 イエスは言われた。「だれもがこの言葉を受け入れるのではなく、恵まれた者だけである。
12 結婚できないように生まれついた者、人から結婚できないようにされた者もいるが、天の国のために結婚しない者もいる。これを受け入れることのできる人は受け入れなさい。」
◆子供を祝福する
13 そのとき、イエスに手を置いて祈っていただくために、人々が子供たちを連れて来た。弟子たちはこの人々を叱った。
14 しかし、イエスは言われた。「子供たちを来させなさい。わたしのところに来るのを妨げてはならない。天の国はこのような者たちのものである。」
15 そして、子供たちに手を置いてから、そこを立ち去られた。
◆金持ちの青年
16 さて、一人の男がイエスに近寄って来て言った。
「先生、永遠の命を得るには、どんな善いことをすればよいのでしょうか。」
17 イエスは言われた。「なぜ、善いことについて、わたしに尋ねるのか。善い方はおひとりである。もし命を得たいのなら、掟を守りなさい。」
18 男が「どの掟ですか」と尋ねると、イエスは言われた。「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、
19 父母を敬え、また、隣人を自分のように愛しなさい。』」
20 そこで、この青年は言った。「そういうことはみな守ってきました。まだ何か欠けているでしょうか。」
21 イエスは言われた。「もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」
22 青年はこの言葉を聞き、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。
23 イエスは弟子たちに言われた。「はっきり言っておく。金持ちが天の国に入るのは難しい。
24 重ねて言うが、金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」
25 弟子たちはこれを聞いて非常に驚き、「それでは、だれが救われるのだろうか」と言った。
26 イエスは彼らを見つめて、「それは人間にできることではないが、神は何でもできる」と言われた。
27 すると、ペトロがイエスに言った。「このとおり、わたしたちは何もかも捨ててあなたに従って参りました。では、わたしたちは何をいただけるのでしょうか。」
28 イエスは一同に言われた。「はっきり言っておく。新しい世界になり、人の子が栄光の座に座るとき、あなたがたも、わたしに従って来たのだから、十二の座に座ってイスラエルの十二部族を治めることになる。
29 わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子供、畑を捨てた者は皆、その百倍もの報いを受け、永遠の命を受け継ぐ。
30 しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる。」
新共同訳聖書(日本聖書協会発行)
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